マンションで電気工事をする際にはどのような注意点がある?

戸建住宅とは異なり、マンションにお住まいの場合にはコンセントや照明の増設を気軽に電気工事に依頼できません。
たとえマンションの一室をすでに購入されている場合でも、マンションにおける電気工事にはある程度の「制約」があります。

そこで、この記事ではマンションにおける電気工事の注意点を解説します。

マンションで電気工事をしたい!その理由は?

マンションにお住まいのみなさんは、入居されるときにコンセントや照明の数などを細かく指定できなかったのではないでしょうか。
マンションにご入居される方の多くは一般住宅における「注文住宅」のような方式で住まいを建てることはできません。

完成している一室を購入することが基本であり、ご自身の好みに合わせてコンセント数やその場所を決めることはできないのです。
そのため、マンションにお住まいの方の多くは、「ここにもコンセントがあったらいいのに」と感じることが多いのでしょう。

では、マンションでコンセントの増設などの電気工事をしたい場合には、一体どうすれば良いのでしょうか。
結論からいうと、マンションをはじめとする集合住宅における電気工事は、「許可」を求める必要があります。

マンションはたとえ購入者であっても、電気工事を希望する際には管理組合や大家さん側に許可を取り、許される範囲内での工事を実施することが基本です。

マンションの電気工事はなぜ複雑か

マンションの電気工事は一般住宅と比較すると複雑です。
その理由には、「専有部分」と「共有部分」というマンション独特の構造が背景にあります。

マンションには購入者が専有できる部分と、専有ができない「共有部分」があります。
実はこの2つの境目が、知っておかないととってもややこしい部分でもあります。

例えばマンションの一室に付属しているインターホンは、専有部分でしょうか、共有部分でしょうか。
自分の部屋に付属しているのだから、専有部分であると思いませんか、実はインターホンは共有部分に該当します。

屋内の火災報知器や、バルコニーなども共有部分なのです。

特にバルコニーは私物も置けることもあり、専有部分のイメージが強いですが避難経路として使用することも多く共有部分と解釈されています。

つまり、共有部分である以上ご自身に所有権はないため、基本的にこうした場所にある電気関係を工事したい場合には許可を求める必要があります。

この線引きをご自身で判断することは非常に難しいので、電気工事をするときはまず管理組合側の許可を求めることが安全なのです。
専有部分であっても契約上電気工事は自由に行えないことがほとんどなので注意しましょう。

また、マンションは上下左右にほかの方の暮らしが存在しています。
一階の角部屋であったとしても、真横には他者が暮らしをしている場所です。

電気工事は作業内容にもよりますが大きな音が発生することがあります。
事前にご挨拶をするなど、細やかな配慮を行っておかないとトラブルになる可能性があります。

今後も共に暮らしていく方との関係を悪化させないためにも、こうした配慮もマンションにおける電気工事には欠かせないのです。

マンションで実際に電気工事をする場合の費用は

マンションで電気工事をする際には、事前に許可を求める点は解説しましたが、費用負担はどうするべきでしょうか。
結論からいうと、共有部分やマンション設備に劣化による修理や新設に関しては、管理者側の負担となることもあります。

つまり、入居者は負担をしなくても良いケースがあるのです。
先に一例をあげましたが、インターホンは共有部分に該当します。

もしも入居している部屋のインターホンが故障している場合は、共有部分のためご自身の費用負担なく直せる場合が多いでしょう。
一戸建ての住まいの場合はご自身の負担となります。

共有部分と専有部分のある住まいにはこのような違いがあるため、費用負担はケースバイケースです。
依頼をする前には費用負担はどちらになるのか管理者側に質問をしておくと良いでしょう。

また、廊下や階段の照明などは管理者側の電気工事責任となるため、入居者の方が独自に電気工事を依頼する必要はありません。

電気工事を依頼する際に知っておきたいこと

マンションで電気工事を依頼する際には、あらかじめ知っておきたいポイントが3つあります。
まず1つ目は「工事業者の選定」です。

一般住宅の場合には電気工事業者を自身で選ぶことができますが、マンションなどの集合住宅の場合には管理組合側が指定する電気工事業者に依頼をするケースもあります。

これは設備を熟知している業者に依頼してほしい、という管理者側の意図があるからです。
この点は電気工事の許可を求める際に管理者側に確認するようにしましょう。

許可が下りれば、ご自身で手配をお願いされるケースもあります。

2つ目は「できない工事も多い」ことです。室内であっても共有部分に該当する壁やバルコニーなどの設備は、専有部分とは異なり電気工事による改変を拒まれる場合があります。

一戸建て住宅のように、求める位置にコンセントを増設したり、スイッチを変更したりする工事ができない場所もあるのです。
この点も、ご自身では判断しかねる問題であるため管理者側に確認を怠らないようにしましょう。

工事後のトラブルを防ぐためにも、電気工事前段階で行われる現地調査の際に、管理者側に立ち会ってもらうこともおすすめです。

電気工事の費用相場はズバリどのぐらい?

マンションにおける電気工事は制約を受けやすい分、意外と費用は安く仕上がることが多くなっています。
コンセントや照明に関する簡単な工事なら数万程度の範囲内で終わることが多いでしょう。

浴室乾燥などの設備の故障、修理等は10万前後かかる場合もありますが、経年劣化によるものの場合には先に触れたように管理者側に相談をすることがおすすめです。

リノベーション予定であり、大掛かりな電気工事負担を購入予定者が支払う場合には数百万に上ることもありますが、こうした費用が発生するようなケースはまれです。

屋内全体の電気設備をリフレッシュする場合でも数十万の範囲で収まることが多いでしょう。

まとめ

この記事ではマンションで電気工事を行う際の注意点を中心に詳しく解説を行いました。
マンションには一般住宅にはない専有・共有の概念があり、工事に関してもその点を踏まえたうえで行う必要があります。

電気工事を依頼する際には管理者と密に相談を行い、トラブルがないように気を付けましょう。