ー電気工事の資格はどれから取るべき?資格の種類や順番を解説ー

電気工事に携わるには、電気工事士をはじめとした専門資格が不可欠です。電気工事に関する資格はさまざまな種類があり、それぞれ受験要件・試験内容・取得後に認められる施工などが異なります。

また、未経験からでも受験できる資格もあれば、特定の資格を取得していなければ受験できない高度な知識が求められる資格もあります。そのため、好きな順番で取得できるわけではありません。

この記事では、電気工事に関連する資格を効率的に取得するための順序と、各資格の概要を解説します。

 

電気工事の資格を取得する鉄板ルート

 

電気工事には、主に「施工者」と「管理者」という二つの職種があります。施工者は実際に現場で電気工事を手掛ける人で、管理者はプロジェクトの管理を担ういわゆる「現場監督」です。それぞれ異なる資格が必要であり、取得すべき資格の順序にも違いがあります。

ここからは、施工者と管理者に分けて、資格取得のおすすめの順序を解説します。

 

施工者向けの電気工事の資格取得順序

電気工事の現場作業に携わる施工者は、以下の順に資格を取得すると、効率的にステップアップできます。

・第二種電気工事士
・認定電気工事従事者
・第一種電気工事士
・特種電気工事資格者

これらの資格を取得すると、電気工事の基本から専門技術まで幅広くカバーでき、複数の資格取得に励むなかで技能レベルも向上可能です。資格が増えると同業者や顧客からの信頼性も高まり、理想的なキャリアを築くために役立ちます。

 

管理者向けの電気工事の資格取得順序

管理者は、電気工事の作業に直接関わらないことも多いですが、現場の監督・進捗の管理・資材の手配・安全管理などを担当する責任重大な立場です。そのため施工者とは異なる管理者用の資格が必要になります。

・2級電気工事施工管理技士
・1級電気工事施工管理技士

現場管理に必要な基本的な資格で、二種類と数は少ないものの、それぞれ高い専門性を求められます。

また電気通信関連の工事に携わる場合は、以下の資格が必要です。

・2級電気通信工事施工管理技士
・1級電気通信工事施工管理技士

 

施工者向けの電気工事に関する資格の概要

 

施工者向けの電気工事に関する資格について、一つひとつ解説していきます。

・第二種電気工事士
・認定電気工事従事者
・第一種電気工事士
・特種電気工事資格者

 

第二種電気工事士

第二種電気工事士は、電気工事に携わるために必要な初歩的な資格です。電気工事を行う会社に入社した場合は、まず第二種電気工事士の目指すことになるでしょう。

在学中の資格を推奨している工業高校などもあり、電気工事の現場に入るための名刺代わりになる資格として知られています。どれだけ熱意があっても、資格がなければ施工ができないため、まずは第二種電気工事士を取得しましょう。

第二種電気工事士には、特に受験資格はなく、誰でも受験できます。試験は学科試験と技能試験があり、学科試験の合格率は約60%、技能試験は約70%です。電気工事の他の資格と比べると難易度は低く、基本的な知識と技術を習得しておけば合格に近づけます。

 

認定電気工事従事者

認定電気工事従事者を取得すると、最大電力500kW未満の自家用電気工作物、600V以下の電気工作物の施工に携われるようになります。第二種電気工事士では対応できない範囲の工事も可能になり、工場やビルなどで施工できる第一種電気工事士と、住宅などで施工できる第二種電気工事士の間に位置する資格だと言えます。

認定電気工事従事者の受験には、第二種電気工事士などの資格が必要です。第二種電気工事士の受験の際に学んだ基礎知識に加え、応用的な知識も理解できるようになれば、合格はそれほど難しくないでしょう。

 

第一種電気工事士

第一種電気工事士は、第二種電気工事士の上位に位置づけられ、より大規模な電気工事に従事できるようになります。実務経験が3年から5年必要とされ、現場経験者しか受験できません。

合格率は学科試験が約50%、技能試験が60%弱と、第二種電気工事士に比べて低い傾向があります。より危険性の高い工事に携わるための資格なので、難易度も高くなっています。日々の業務を通じて技能を高めつつ、学科試験のための勉強も必要です。

 

特種電気工事資格者

特種電気工事資格者は、ネオン看板や非常用発電機の設置など、第一種電気工事士でも手がけられない特殊な工事を行うための資格です。一方で特種電気工事資格者では、第一種電気工事士の施工範囲をカバーできません。そのため、第一種電気工事士を取得したうえで、さらなる技術向上のための取得するのがおすすめです。

取得には、電気工事士の資格とネオン工事に関する5年以上の実務経験が必要になります。受験のためのハードルが高いものの、条件を満たしていれば講習を受けることで比較的容易に取得可能です。

 

管理者向けの電気工事に関する資格の概要

 

ここからは管理者向けの電気工事に関する資格について詳しく解説していきます。

・2級電気工事施工管理技士
・1級電気工事施工管理技士

 

2級電気工事施工管理技士

2級電気工事施工管理技士は、電気工事の現場の監督業務を行うために最低限必要な国家資格です。管理できる現場の規模には制限があり、主に小規模な電気工事の管理のみ認められます。具体的には、電気工事の総額が4,500万円未満、あるいは建築一式工事の総額が7,000万円未満のプロジェクトを担当可能です。

また、主任技術者としての役割を果たすことができ、公共工事を受注する際の経営事項審査での加点も見込めます。

受験資格は2024年度より大きく変更になるため、注意しましょう。試験は、第一次検定と第二次検定があり、一次検定には「17歳以上」という年齢制限のみ設定されています。第二次検定は、「2級の一次検定合格後、実務経験3年以上」あるいは「1級の一次検定合格後、実務経験1年以上」の条件を満たす必要があります。

ただし2028年度までは受験要件の移行期間として、旧資格要件による受験も可能です。

 

1級電気工事施工管理技士

2級の上位に位置づけられる資格であり、より大規模な電気工事の管理が可能となります。監理技術者として活躍でき、公共工事受注に際しては、経営事項審査での点数加算も大きくなります。

受験資格は2級と同様に、2024年度より大きく変更されるため、実務経験などの条件を把握しておきましょう。

 

まとめ

 

電気工事に関わるさまざまな資格と、取得する順序について解説しました。

施工者は第一種・第二種電気工事士などの取得が求められ、管理者は電気工事施工管理技士が必要です。資格によって対応できる施工の範囲に差があるため、働いている会社の施工内容や将来的に携わりたい工事などを考慮して、受験する資格を選びましょう。