電気工事士による安全のダクト工事とは?金属ダクトの詳細を紹介

私たちの暮らしには電気にまつわる様々なアイテムが存在していますが、その中には日頃の生活ではあまり触れる機会がないものもあります。

コンセントやスイッチは身近な存在ですが、「金属ダクト」に関しては触れる機会は少ないでしょう。
そこで、この記事では金属ダクト工事の詳細について紹介します。

 

金属ダクト工事とはどんな工事なの?

普段の生活では電気を利用しようと思うと、壁に付けられたスイッチに触れたり、コンセントに配線を差し込むことが多いでしょう。

しかし、電気を便利に利用するためには配線工事を実施する必要があります。

電気の配線に関しては一般住宅の場合は壁などを使って配線を巡らせていきますが、ビルや工場などはダクトと呼ばれるものを使用して配線工事を展開していきます。

では、ダクトとは一体どのような部材でしょうか。

 

ダクトの概要

金属ダクト工事に使われるダクトとは、金属製の管のことです。
ダクトにはさまざまな種類があり、金属製以外にも特殊なグラスウールなどの素材でも作られています。

電気の配線工事以外でも換気を目的に設置をされていることが多く、特に飲食店ではダクトが必須アイテムとなっています。
では、金属ダクト工事におけるダクトとはどのような部材でしょうか。

電気の配線を通過させるための管で、頑丈にできています。素材の暑さも1.2mmを超えるように設計されており、本体の幅も5cmを超えるようにできています。

この基準を下回るものは別の工事として取り扱いがなされます。

 

金属ダクト工事はどこで行われるのか

金属ダクト工事は一般的な住宅における電気工事ではなく、主に工場やビルなどで行われています。
先に触れたよう金属ダクト工事に使われるダクトは幅もあるので、大きな建物向けで使われていることがわかります。

工場やビルで使われている電線やケーブルは太く作られていることが多いため、こうした配線を安全に巡らせるために行われます。

金属ダクトは内側や外側にメッキも舗装してあり、建物内に吊り下げるように使う場合や、隠蔽したい場所に設置をするように工事を行います。

金属を使用するため腐食を防ぐためにも乾燥している場所を選択する必要があり、湿気や水気近くにある場所には工事ができません。

また、電気工事にまつわる工事のため、定期的な点検を要することから、全く点検ができないブラックボックスのような場所には施工をすることができません。

普段オフィスビル内などで仕事をしている方は、大量の配線が建物中に巡らされている様子はあまり目にしないと思われます。

それは配線やケーブルを踏んでしまったり汚損してしまったりなどで断線しないよう、あえて目の届かない場所に金属ダクト工事が実施されているからなのです。

 

どんな電線を使用しているの?

乾燥した場所に設置される金属ダクト工事ですが、ダクトの内部には配線やケーブルを集約しています。

この際に使用されている電線には、絶縁電線が使われています。
ただし、直径が小さく(3.2㎜以下)の場合は使用できると決められています。

そこで、1つ注意点があります。
電線の接続に関してはダクトの内部で行わないように決められているのです。

その理由は漏電リスクを避けるためです。
ダクト内部は常日頃から監視ができる場所ではありません。

その内側で接続点を設けてしまうと、劣化などの気が付かない可能性があります。
ついには漏電に発展してしまうと、大規模な事故に発展するリスクもあります。

そのため、金属ダクトの内側で接続させないことは法令でも定められています。
工事の際には十分に注意をしながら進める必要があります。

 

金属ダクト工事とバスダクトはどうちがうの?

金属製のダクトを利用して建物内部に判然に配線やケーブルを張り巡らせる金属ダクト工事ですが、類似している工事にバスダクト工事という電気工事があります。

普段電気工事に馴染みがないと、この2つは初見では違いが分かりにくいかもしれません。
では金属ダクト工事とは異なり、バスダクトとは一体どんな工事なのでしょうか。

 

バスダクト工事の概要

バスダクト工事とは大規模な電気工事の一種です。導体部分を絶縁で固定していく手法を取ります。
6,000アンペアまで流すことができる強力な工事のため、電気の使用量が多い工場やビル群で利用されている工事です。

特にビルの場合には、インフラ系が集中して入居するビルに対応できるため、積極的にバスダクト工事が実施されています。
金属ダクト工事と同様で、乾燥している部分を通過すると用にダクトを張り巡らせる工事が行われています。

ダクト本体は金属であり、接地工事に関しても金属ダクト工事と同様に行う必要があります。

では、バスダクトと金属ダクト工事を分けるものは何でしょうか。
バスダクト工事はダクト内に銅やアルミと言った導体を絶縁物で固定する工事です。

金属ダクト工事は配線を通すことを目的としていますが、バスダクト工事は電気そのものを通過させることを目的としています。
似て非なる工事なのはこのためです。

 

電線の接続は難しい?金属ダクト工事の接続の問題点

今回ご紹介の金属ダクト工事はポピュラーな工事で電気工事士の試験でも頻出される問題です。

ダクト内には電線の接続を行わないことが鉄則ですが、電線を分岐する場合には接続点が点検できる場合もあるため接続を設けることが可能とされます。

そのため、わずかですがダクト内に接続を設ける場合もあります。
また、ダクトの終わりにあたり終端部については閉そく工事が行われます。

使用される電圧によって接地工事の名称が変わりますので注意が必要です。

 

配線ダクトとはどんなもの?

同じダクトという用語だと、電気工事の現場では配線ダクトという言葉もあります。
配線ダクトとは、電線を整理するためのダクトのことです。

金属ダクトに使われるダクトはもちろん金属製ですが、通称・配線ダクトと呼ばれているものは樹脂材が使われています。
側面部分にスリットがデザインされており、配線の取り出しがとても簡単です。

金属ダクトとは異なり、一般住宅の配線工事に活用されているもので、分電盤の内部などに配線をすっきりとまとめるために利用されています。

ご家庭であっても多数の配線が使用されることが多いため、このような便利なアイテムが活躍しています。

 

まとめ

この記事では金属ダクト工事を中心に、バスダクト工事や配線ダクトに関して細かく解説を行いました。

ダクトという存在は電気そのものを供給するわけではないですが、電気を安全に使うための道具として重要です。
適切なダクトの利用が漏電などのトラブルから私たちの生活を守ってくれます。