私たちの生活は電気によって支えられていると言っても過言ではありません。
スイッチを押すと明かりが灯り、リモコンを使えばテレビやエアコンが稼働します。
便利な電気のある生活を享受するためには電線から電気を「引き込む」工事を行う必要があります。
ではこの引き込み工事とはどのようなものでしょうか。
電気の引き込み工事とは2つの方法がある
現在の日本の生活において、電気を全く使わない生活をしている人は少ないのではないでしょうか。
便利な家電や生活の照明など、電気は大切なライフラインの1つです。
建物の内側で電気を安全に使うためには家電を置いてスイッチを建物に付けるだけでは足りません。
外部から電気を引き込む必要があります。
また、倉庫や作業場などに電気環境が整っていない場合にも新たに引き込みを行う必要があります。
電気の引き込み工事は事前に許可を得る必要がある他、電気工事のプロフェッショナルに依頼をする必要があります。
工事には主に下記の2つの方法があります。
低圧の引き込み工事
建物の全体の電力契約の容量が50kVA未満の場合には低圧の引き込み工事を行います。
電柱に設置をしてある変圧器から引き込んでいきます。
高圧の引き込み工事
建物の全体の電力契約の容量が50kVA以上の場合には高圧の引き込み工事を行います。
テナントなどの商業施設は電気の契約容量が大きくなるため、基本的に高圧引き込み工事になることが多いでしょう。
大型の工場なども電気を大量に使うため高圧電力を使うことが必須です。
電気の引き込み工事はどんな工事?
一般的な住宅や小さなテナントなどでは基本的に電線を直接建物へと引き込み電気を流す工事を行います。
新築の建物の場合には、入居より前に工事を終えておく必要があるため電気の引き込み工事を間近で見る機会は案外ないかもしれませんね。
そこで、この項では電気の引き込み工事の基本的な流れをご紹介します。
電気の引き込みは申請から
電気の引き込み工事は供給されている電気を新たに別の建物へと引き込んでいく作業のため、事前に申請が必要です。
例として、工事が頻繁に行われている低圧電気の引き込みの場合には、「低圧電気使用申込書」に記入を行い、ご自宅の電気設備の図面などを添付して提出します。
地域の電力会社に提出を行い、許可が下りた後に工事の実施に移行します。
引き込み工事の許可は約1か月以上待つことも多いので、速やかに申請を行っておくことが大切です。
電気工事士による打ち合わせ
電気工事の引き込みは電気工事士が行う必要があります。
引き込み線や計量器の選定などを行い、ご自宅に合う工事を実施します。
引き込み線が長すぎると漏電のリスクが高まるため、長さなどもきちんと設計を行っていきます。
垂れ下がってしまわないように、引き込み線施工の高さも十分に確保をする必要があります。
ケーブル本体も安全なもの(絶縁加工がなされているもの)などを確保し、引き込み口を選定します。
引き込む場所に関しては外観の雰囲気にも影響するため、事前に施工主と念入りに打ち合わせを行うことがおすすめです。
こうした作業は設計調査とも呼ばれています。
工事資材の発注と費用の請求
打ち合わせが完了すると必要資材の発注と工事費用の請求が行われています。
ブレーカーや引き込みに関する細やかな資材などを準備し、電力会社側に竣工届出を行った後に速やかに工事へ移行します。
一般住宅の場合工事費用は約10万代から可能ですが、地中に電線を引き込む工事は高額になりやすく、約数十万円程度の相場が一般的です。
屋外配線のみの場合は私物の工事ではないため約数万円台に収まる工事費用です。
引き込み線の長さや家の立地状況によって変動するので、見積もりを取得し、協議をすることがおすすめです。
高圧電力の場合には高額の工事費用が発生することがあるため注意が必要です。
工事と供給開始へ
工事費用の受領後には引き込み工事の開始です。完了後は速やかに供給の開始が行われます。
実は多い?引き込み工事のトラブルとはどんなもの?
電気工事は電気工事士が専売的なポジションにあり、適切な工事を依頼する必要があります。
電気工事士は国家資格であり、火事やトラブルを防ぐためにもご自身ではなく安全な有資格者に工事を求めることが大切です。
しかし、ここで1つ注意点があります。
電気の引き込み工事をはじめとする電気関連工事には近年トラブルが発生しているという報告もあるのです。
工事を契約する前に、まずは下記のトラブルをご一読ください。
配線が見えているトラブル
近年テレビのアンテナなども景観に配慮した工事が行われるようになり、住宅の外観にこだわりを持つ人が増加しています。
電気の引き込み工事に関しても同様で、できる限り配線が見えない工夫を求める方が増えています。
しかし、電気工事会社側と十分な意思疎通ができておらず、電力メーターから分電盤の本来隠せる配線に関しても剥き出しになっていることがあるようです。
後々「こんなはずじゃなかった」という外観にしないためにも、配線に関してはトラブルにならないように双方の意思疎通を十分に行いましょう。
点検に関するトラブル
電気工事全般に言えることですが、近年電気の配線は引き込み等に気になる点がある、などとニセの点検員が声掛けをしてくる事例が報告されています。
敷地内に不審者がいる、高額の点検費用を請求してくるケース等があり、消費者センターにも多くの苦情が届いています。
電力会社の職員を装った詐欺事件が起きているので注意をしましょう。
電気関係の点検に関しては実際に調査員が点検を要することもあります。
不審者かな、と疑問に思ったら管轄の電力会社へ問い合わせを行うようにしましょう。
聞いたことのない会社名の職員が突然訪問してくる場合には安易に自宅へ招き入れないことが大切です。
引き込み工事はどんな工事に該当するの?
電気に関する工事は電気工事士へ、と触れました引き込み工事はいったいどんな工事に該当するのでしょうか。
電気の引き込み工事は、「電気設備工事」に該当します。街中で電線の工事をしている業者が居ると、車両に「〇〇電気設備」などの社名があるのではないでしょうか。
電気設備工事とは引き込み工事だけではなく、電話やLANなどの配線工事はもちろんのこと、幹線の工事も該当しています。
電気に関するさまざまな工事を担えるプロフェッショナルですね。
まとめ
この記事では電気工事の中でも生活に直結している引き込み工事に関して詳しく解説しました。
明るく灯す光を引き込むためには、細やかな工事の許可や手順があることを知っていただけたら幸いです。
安全な電気工事はぜひ電気工事士におまかせください。