住まいの電気管理に欠かせない「分電盤」は、交換が必要となるケースがあります。普段はあまり気に留めることがない分電盤は、いったいどのようなときに交換が必要となるでしょうか。
この記事では分電盤の劣化症状や交換の目安、電気工事について詳しく紹介します。
分電盤とはいったいどのような装置?
私たちの住まいは、照明や家電製品など、電気を多く使いながら維持されています。そのため、一戸建てでもマンションなどの集合住宅でも、電気工事が入居前には行われており、安全に電気が使えるように工事が完了しています。
では、分電盤とはいったいどのような役割を果たすために設置されている装置でしょうか。私たちの住まいは、各部屋でも安全に電気が使えるように、壁や天井に配線が敷かれています。分電盤は、各部屋の配線に向かって電気を分配する装置です。
安全にどの部屋でも使えるように供給する装置なのです。家庭に送られてくる電気は直接どの部屋に対しても供給がなされているわけではありません。
住まいの1箇所にまずは集約する形で届けられており、分電盤を使ってさらに部屋へと供給されています。分電盤の中には、漏電などのトラブルを防ぐためにブレーカーも内蔵されています。
ブレーカーの役割とは
分電盤の中に入っているブレーカーは、電気の安全装置といっても良いでしょう。ブレーカーは電気を「遮断する」ために存在している装置です。
たとえば、経験がある方も多いかもしれませんが、エアコンやオーブンなど、電気を多く使う家電製品を複数同時に使ったときにブレーカーは落ちてしまいます。
この現象は事故で起きているものではありません。むしろ事故を防ぐために起きるもので、過供給や漏電により火災が起きないように、わざとブレーカーが電気を遮断しています。ブレーカーの種類は以下の3つです。
・契約ブレーカー
電気を使用するためには、電力会社と契約を結ぶ必要があります。契約ブレーカーとは電力会社から受ける供給の限度を超えないように設定されているもので、サービスブレーカーとも呼ばれています。過使用をキャッチすると速やかに落ちるしくみです。
・漏電ブレーカー
配線や回路の異常をキャッチしたら、漏電ブレーカーが速やかに落ちます。電気火災などのトラブルを防ぐ効果のある装置です。漏電ブレーカーが頻繁に落ちる場合には、配線などに問題が起きている可能性があります。
・安全ブレーカー
各部屋の中で電気トラブルが起きてしまったり、過供給が起きたりした場合に発動するブレーカーが安全ブレーカーです。自動的に電気を遮断することで、各部屋の配線などを守る働きがあります。
ブレーカーは住まいの電気供給において非常に需要な役割を果たしており、適切に管理を行う必要があります。
分電盤には寿命がある?
分電盤は毎日フル稼働している大切な機器です。休みなく稼働している分電盤は、適切に交換する必要があります。では、分電盤の寿命とはいったいどれくらいなのでしょうか。
法定耐用年数は15年
分電盤の法定耐用年数は、15年と定められていますが、おおよそ10年程度を超えると分電盤にダメージが見られるようになります。多くの分電盤メーカーも、おおよそ13年程度を目安に交換を勧めています。
新築後10年程度経つ頃になると、建物の内装や外装の大型メンテナンスを実施することが多いため、電気関連も電気工事の専門家によるメンテナンスを受けることがおすすめです。
劣化した状態の分電盤を使っていると、負荷がかかり分電盤事態が焦げてしまったり、ショートを起こして何度もブレーカーが落ちたりする可能性があります。早めに交換を行わないと火災のリスクがあるため、注意してください。
分電盤の交換となる目安
分電盤の法定耐用年数はあくまでも目安です。15年よりも早く劣化をしてしまうケースもあります。では、分電盤の交換を検討すべき目安はあるでしょうか。
・焦げた臭いがする
分電盤から焦げたような臭いがする場合、分電盤内にトラブルが起きている可能性があります。分電盤の蓋に焦げたような跡がある場合も注意が必要です。
・ブレーカーが落ちる
頻繁にブレーカーが落ちる場合、分電盤が寿命を迎えている可能性が高いでしょう。特に漏電ブレーカーが何度も作動している場合、配線や回路に大きなトラブルが起きている可能性があります。早めにメンテナンスを受けましょう。
・電気がちらつく
分電盤本体を見る限りダメージは見当たらなくても、電気が点滅したり、ちらついたりするようなトラブルが直らない場合も、分電盤トラブルを考慮すべきです。照明器具を交換しても問題が解決できない場合には、早めにメンテナンスを受け分電盤の交換を視野に入れましょう。
分電盤の交換は電気工事士へ依頼を
分電盤は市販されており、一見すると自分でも交換ができるように感じるかもしれません。しかし、分電盤は電気工事士の専門分野に該当するものであり、DIYによる工事は法律違反です。
感電事故につながってしまうおそれがあるため、メンテナンスの段階から電気工事士に依頼してください。分電盤の本体はおおよそ数万円程度で、交換に関する施工費用を入れると、10万円未満で完了することが多い工事です。
一般家庭における分電盤交換の工事は、第二種電気工事士の資格があれば対応できます。なお、大型の工場など電力設備が大きい場合には第一種電気工事士の資格が必要です。
分電盤と配電盤はどのように異なる?
分電盤の工事について検索すると、配電盤についても検索結果が表示されるかもしれません。では、分電盤と配電盤はどのように異なるのでしょうか。
一般の家庭で使用されている設備は分電盤といい、大型施設で分電盤の役割を果たしているものが、配電盤といいます。つまり、役割そのものは似ていますが施設の大きさによって呼び方が変わるのです。
配電盤の場合、呼び方は2種類あります。1つはキュービクル、そしてもう1つは開放型です。いずれも一般家庭に設置されるものではなく、金属のフレームなどで重厚に管理されていることもあります。
大型施設は電気の供給量が多いため、耐久性に優れた配電盤が開発されています。
まとめ
この記事では、電気工事における分電盤の役割や交換について詳しく解説を行いました。私たちの住まいに身近な分電盤は、電気を安全に分けるだけでなく、ブレーカーを保護する役割も果たしています。
分電盤には寿命もあるため、適切な時期を迎えたら必ずメンテナンスを受けるようにしましょう。